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2012年1月27日 2:59 PM

えらいことやで赤ワインが品不足

ブルゴーニュ産の赤ワインが品不足です。犯人は中国人。彼らがガブ飲みするらしいです。
 1月23日は妻の誕生日。たまには晩酌の赤ワインを上等のにしようというわけで二人で買い物にでかけました。
 この二年ばかり晩酌は赤ワインにきめています。もとからワイン党だったけど、ボケ防止に効き目があると知って欠かさず飲むことにしました。それもブルゴ-ニュ産の赤を気に入って愛飲しています。
 香りがゆたかで、渋みがなくて、透明感のある味わいで、わたしはあれでないとイカンのです。毎日妻と二人で一本ずつ空けます。ただし近ごろは老化現象で、すこし残す日もあります。
  一級品を毎日飲むわけにいかないから、卸値で1000円から2000円ぐらいのをえらんで買っていました。どころがいつもゆく洋酒売り場の充実したスー パーにブルゴーニュ産がない。ボルドーはあるし、チリ、オーストラリア、イタリアなどのワインはずらりと並んでいるのにブルゴーニュだけが見当たらないの です。べつのスーパーへいってみたが、やはりだめ。仕方なくカルフールまで足をのばしてようやくわずかに一、二本棚にあるのをみつけました。なんだかよく わからないが、ボーヌの修道院の製品で一本5000円。うちの大蔵大臣の誕生日をこれで祝うことにしました。
 それにしてもブルゴーニュワインが見当たらないのはふしぎです。
「なんでブルゴーニュが品不足なの」
 と店員にきいてみたところ、中国が近年多量のブルゴーニュワインを輸入するとのことです。
  経済にゆとりの出た階層にワインが普及し、なかでもブルゴーニュが人気らしい。中国は社会の格差が拡大し、ごく一部の者が豊かさを満喫しているらしいけ ど、ごく一部といっても総人口が日本の10倍もあるのだから、その影響は甚大です。こっちへ廻ってくる本数がたちまち激減するわけです。値段もあがる。ロ マネ、コンティなどの超高級品には最初から手がでないけど、2級、3級品まで高騰するとわたしはエライ迷惑です。
 最近中国の内陸 部に冷蔵庫が普及し、農民がどんどん魚を食べはじめたので、中国の漁船が遮二無二他国の領海で漁をするようにりました。それと同じ現象です。まったく中国 人は他国との摩擦を恐れず万事にゴリ押しします。やたらと人口の多い国がすぐとなりにあるのは、輸出業には有利だけれど、いろいろ不便なことも多いので す。しかしまさか赤ワインにその弊害が及ぶとは思いませんでした。
「おまえらにワインは似合わないよ」
 といってやりたくなるのです。
  20年ほど前に2度ブルゴーニュを旅行しました。一度目は大学時代の友人の世話で小型バスをチャーターし、十人ばかりでブルゴーニュのぶどう畑を2日がか りで縦断しました。要所要所でバスを止め、シャンベルタンだのロマネだのムールソーだのおなじみの銘柄の畑のぶどうをつまんでまわりました。フランスの田 舎は信じられないほど静かで広くて風景が美しかった。民家の軒下で地元の老親たちが赤ワインをタンクから瓶にうつしたりしていました。
 2度目は妻が一緒で、友人の吉田君夫婦と4人の旅でした。吉田君は高校時代の野球仲間で朝日新聞の記者をしていました。
 ブルゴーニュの広大なぶどう畑をめぐったあと、中部にあるボーヌの街に入りました。ここで広大な洞窟がワインの販売所になっています。
 中へ入ると学校の体育館ほどのスペースに、4,5メートルほどの間隔で円いテーブルが50はかり、ずらりと半円形に並んでいます。それらのテーブルにはブルゴーニュのさまざまなワインのボトルが一本づつおいてありました。
 お客は小皿を一枚ずつ手渡されます。テーブル上のワインを小皿に注いで味見をし、気に入ったワインを何本か買う仕組みなのです。日本にも送ってくれるので荷物にはなりません。
  わたしたちは張り切って一番端のテーブルから味見にかかりました。小皿に注いで口にふくみ、味わったあとそばにあるバケツに吐きだすのです。ところが口に ふくむとどの銘柄のも美味しくて吐き出すのが惜しくなる。ついゴクリと飲んでしまいます。わたしと妻はなんとか2つ3つ銘柄をえらんで自宅へ送る手続きを しましたが、ゴクリ、ゴクリの繰り返しで一巡りしたときはいい具合に酔っ払っていました。つぎに乗ったチャーターのタクシーでボジョレー村を通ったとき は、酩酊してさっぱり風景をおぼえていません。
 この販売所であきれたのはドイツ人旅行者。彼らはチーズやソーセージを持参して、味見を酒盛りにするのです。合理的といえば合理的、汚いといえば汚い。「だからドイツ野郎はきらいなんだ」と係員が顔をしかめていました。
 あのブルゴーニュのワインが中国人に買い占められているのか。考えると複雑な心境になります。でも、われわれ日本人もバブルのころ パリのエルメスやグッチの店に殺到してフランス人の顔をしかめさせたものです。それを思ってまあ苦笑して見守るしかないようです。