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2014年12月2日 1:11 PM

バイキンにされる日

年末の総選挙がきまって、公示後はまた街がやかましくなりそうです。アベノミクスや
消費税アップ先送りの是非を問う解散だということですが、いま選挙をしておけば自民党
に有利との判断にもとずく延命選挙なのはたしかです。
テレビは挙って巷の声をとりあげます。
「株高、円安で大企業や富裕層は潤ったかもしれんけど、給料は上がらん。私ら庶民に
は実感がおまへん」」
判で押したような巷の声がならびます。格差の拡大は停まらんというわけです。
わたしは経済を論じる素養がありません。でも、長谷川幸洋氏の文章を読んで啓発され
た気がしました。氏は就業者数の増加と完全失業率の低下をアベノミクスの功績として
あげています。21か月も連続して就業者数は増加しているそうです。それも非正規雇用

ではなく正規雇用数が急速に増えて、7~9月期は減少幅がマイナスになった(前年同

期比)ということです。非正規雇用は相変らず増えているが、増加数は減少の一途をたど

り、実態はゼロに近づきつつあるのです。
人手不足になると企業は非正規社員を正規社員へ切り替えはじめます。その動きが加速
している。つまりアベノミクスは4月の増税を避けていたら大成功だったというわけです。
まあこんな見方が成立する点からして選挙は自民有利に終るのでしょう。
選挙というと、わたしはいつも隔靴掻痒の気持になります。今度の解散も閣僚があまりに
金銭的な問題を抱えた人物が多いので,安倍首相の任命責任が問われるのを避けるた
めという見方もあります。じっさい国会議員にとって政治資金は給料の割り増しみたいな
もので、好き勝手な使い方をされているようです。なんでそんな輩が当選して議員になる
のか。これは民主主義の欠陥だとわたしは思うのです。
わたしも一応投票にゆきます。でも、個人的に候補者を知っていたことは一度としてあり
ません。どんな人間なのかわからぬまま、所属の政党の公約をみて一票を入れます。ど
この馬の骨かわからん男、街で出会っても何者かわからん輩に投票せざるを得ないの
です。記者に突っ込まれて大声で泣いた兵庫県議とか、すべて執事に任せて自分は何

も知らない元総理の娘とか、政治資金を遊興費に使う男(大多数は該当するらしい)とか、
人物、人柄を知る手掛りがないまま、投票させられるのが今の選挙システムです。
それを避けるために候補者は演説などで自分を売り込もうとするのですが、いうことはキ
レイごとばかり。自分が当選すれば当地は極楽になる、などと眉ツバの話をきかされます。
よほどのヒマ人でないと耳を傾けたり、いそいそと投票所にいけるわけがない。投票率が
どうの、国民の義務だのとやいのやいのいわれて仕方なく腰をあげるのです。まして今回
は師走であり、勝敗が前もってわかっています。面倒くせえなあ、お互いに。パソコンで投
票できるようになったのは、楽で良いけど、投票行動の重みが減少しますね。
一時引退する意向だった石原慎太郎氏が周囲に説得されて再出馬するようです。前回

の都知事選で氏は100万票をとったそうですが、氏の強みは作品を見ればどんな人物

なのかよくわかるる点にあります。すくなくとも「どこの馬の骨」かと疑念を抱かせる人物で

はありません。文学以外でも絵画、音楽など表現に係わる職業の人がもっと選挙に出て

も酔いと思うのですが、多くの表現者は自分の仕事で手一杯で、選挙に出るヒマはない

でしょう。
衆議院議員は地元貢献の実績または期待度によって選出されます。彼らは政党内部で

出世競走に明け暮れ、次第に全国に及ぶ権力の座に近づきます。橋下徹など出世競争

向きの人材だと思ってわたしも一時注目したのですが、地元貢献に疑問があって往年の

人気はないみたいです。

へいと族との喧嘩なんて、相手はわたしたちの本音を代弁する向きもあるのだから、まと

もに建前論で対決したのはまずかった。喧嘩のカンが鈍ったのか。でも「馬の骨」の危惧
を抱かれずに済むところがまだしも希望の残るところでしょう。
候補者の人柄に触れるすべがないのですから、わたしたちはマスコミを通じて候補者を
知るしかありません。つまりマスコミにつくられた候補者の像を選ぶしかないのです。テレ
ビで候補者演説をきいても、千里眼の持ち主でないかぎり人柄がわかるけがありません。
そしていよいよ投票。これまでわたしの投票した候補者が当選するのは2度に1度くらい。
しかし何十万だかの得票数を見ると空しさにかられます。ああ、おれは(たとえば)34567

8票の中の1票なのかと思うと、何億といる黴菌かウイルスの中の一つになった気分です。

自分の無力を思い知らされるということでしょう。

若いころ、わたしたち夫婦は城東区関目の旧農家の土蔵を改造した小さな家を借りてい
ました。その母屋の主婦が知能指数の低い女性でした。わたしは選挙のたびに、

「母屋のオバハンとおれが同じ1票では不公平だ」

という思い上がった不満を抱いたものです。

歳のせいでもっとケンキョになったけど、投票数を見て黴菌やウイルスになった思いは

変りません。いったい何のバイキン、ウイルスなのでしょうか。エイズ菌やエボラ出血熱

のウイルスにはなりたくありませんね。

しかし当選した議員はわれわれのことを黴菌やウイルスのように見下ろしているのでし

よう。でなければ、政治資金をSMバーの支払いに充てるなんてできるはずがありま

せん。投票日はわれわれがバイキンにされる日なのです。