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2014年2月4日 3:18 PM

愛らしき女傑

神戸の理化学研究所のチームリーダー小保方晴子さんが次世代型の万能細胞を作
り出したそうです。STAP細胞という名のその細胞は、山中教授のiPS細胞と違って
皮膚などの細胞に遺伝子を入れる必要がなく、外からの刺激だけで細胞を受精卵の
ような初期状態にもどせるのだそうです。
といってもわたしたち部外者にはなんのことかよくわかりません。原発関係の諸
問題と同じように、ろくに理解できないまま褒めたりけなしたりせざるを得ないわ
けで、一般人にとって現代は案外難しい時代のようです。
なんでもSTAP細胞は細胞に植え付けられた記憶を消すスイッチを簡単に押せる特
色があって、これは生物学の定説をくつがえす大発見なのだそうです。多方面に応
用が可能で、小保方さん本人によると、
「病気で子宮を失い、子供を生めなくなった女性がこれで救えるようになりそう」
なのだそうで、不妊に悩む女性などは希望の光を見出したはずです。
山中教授のiPS細胞はガンの仕組みを解明するのに役立ち、やがてガンの新し治
療法の発見につながるとのことです。最近話題の加齢黄斑変性もあと一歩で治療
できるらしい。闘病中の患者は一日千秋の思いでその日を待ち焦がれています。
小保方さんのインタービューを見て、まだ若いのにこれだけ大きな人類への貢献を
果たせる分野に身をおくことがほんとに羨ましくなりました。わたしたち凡人は自分
でメシを食うための悪戦苦闘で人生を終えてしまいます。人類に貢献する道をさがす
どころじゃない。
しかし小保方さんにしても、
「明日失敗したらもうこの研究はやめよう、の繰り返しで5年たってしまいました」
ということです。泣き明かした夜も多かったらしい。
一つの栄光に至るまでの道筋がどれだけ厳しいか、背後にある死屍累々の光景を
わたしたちは想像するしかありません。
業績からいえば間違いなく小保方さんは女傑です。でも彼女は若くて美人だし、実
験室でふつうの白衣でなく祖母からもらった割烹着を愛用しました。新型の愛らしい
女傑というべきです。
つい近年までは「女には学問は不要」というプレッシャーが日本にはありました。
そんな風土の中では彼女のような愛らしい女傑は生まれなかっただろうし、後
続の女性もごくまれだったでしょう。日本は変わったなあ、としみじみ思います。
愛らしき女傑といえば、かの高梨沙羅ちゃんが目にうかびます。まだあどけない顔
立ちで、ジャンプ競技という男でも二の足をふむ種目で世界の頂点にいるのだから、
空前絶後の勇者です。急斜面をすごい速さで滑降し100メートルも宙を飛ぶのだか
ら、小保方さんと違ってだれにもわかりやすい偉業の主です。高梨クンの滑りとジャ
ンプの姿には自分のゆく道を早々と発見して、まっしぐらにその道を疾走する愛すべ
き女傑の姿そのものです。
小保方さんも高梨クンも80歳のわたしにとっては孫の世代です。昔は女傑といえ
ば器量は鬼瓦級の女性がほとんどでした。
だが、一途に一つの道をすすむ人の風貌にはそれなりの気品やかがやきが生じます。
かつての鬼瓦が80年の間磨きをかけていまの愛らしい女傑に変ったとわたしは思わ
れてならないのです。美人になりたい女性は整形なんかやめて研究室へこもるなり、
グラウンドを毎日駆けまわったりするほうがまっとうかもしれませんぜ。