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2016年2月23日 12:55 AM

懐かしのホンダラ行進曲

必要あって野坂昭如さんの「人称代名詞」という本を読んでいます。たしか吉
川英治賞の受賞作で昭和60年出版の小説です。土曜日から読み始めたのです
が月曜になっても3分の1しか読めず、注意されて愕然としました。
野坂さんの文章は、読みにくいというより読者が身を入れて読まざるをえない
文章でですが、せいぜい200ページ弱、400字詰め原稿用紙600枚ほど
の作品です。それが3日がかりで3分の1しかよめないなんて、明らかに私の
読書能力が低下しています。何でこんなに読むスピードが遅くなったのか考え
て、改めてびっくりしました。
原因の一番はやはり加齢です。書く能力が最近ずいぶん遅くなりました。PC
のせいもあるけど、やはり頭の中にある混沌とした思念を言葉にするスピード
が落ちているのでしょう。でも、読む能力がいくら年をとってもそんなに遅く
なるとはおもえない。そこで気づいたのですが、読書に充てる時間がめっきり
すくなくなったのです。もともと多読とは云えなかったが、近年ますます少な
くなりました。スマホ愛好層をバカにはできません。
年をとると忙しくなります。かつて柴田錬三郎さんが「50すぎたら坂道を転
がり落ちるようなもんだ」と云っていましたが、その通りです。私は50代で
糖尿病と高血圧になりましたが、以来月に一度は病院へ検査、投薬にいってい
ます。病院では1時間30分は待たされるし、妙に疲れてその日は書くことで
精一杯。ほかに健康体操やらウォーキングやらで時間を取られます。今は仕事
がへったけど、10年前までは毎日けっこう多忙でした。1つ片付けるとさら
に1つ注文が来て心理的にはホッとする間もなかったのです。当時クレージー
キャッツの「ホンダラ行進曲」と云う歌があったけど、聴くたびに身につまさ
れる歌詞でした。
一つ山越しゃ ホンダラダホイホイ
も一つ山越しゃ ホンダラダホイホイ
越しても越しても ホンダラホダラダホイホイ
一つ注文をこなしても次から次へと注文が来る、とわが身の苦労(それがどん
なに恵まれた状態だったか今思い知らされています)に重ね合わせて,ヤケ気
味に口ずさんでいました。
当時から読書に時間を費やすことはできませんでした。しかし物書き業をつづ
けるには然るべき仕入れが必要です。例えば、戦争について書くなら、作戦の
記録などを読んで貧弱な知識を埋め合わせねばなりません。同業の方々がどうやって仕入れをするのか、読書のヒマがあるのか否かわたしはフシギでなりま
せんでした。わたし自身は仕入れ不足で新生面がひらけなくなり、世の中に忘
れられた物書きになったというわけです。
しかし歳をとると多忙で読書の時間がとれなくなります。注文で忙しいわけで
はなく、病院通いや会合やコンサートへのご招待、友人との飲み会などで、せ
っかく着手した書き下ろしのための時間もつぶれる始末。半面書き下ろしのた
めの調査が進めば進むほど調査不足の点が次々に出てきて、最盛期のころと同様、本だけは次々に買い込んでいる始末です。
野坂さんの小説を読むのでさえ遅々として捗らなくなり、調べねばならないこ
とばかり山積みされて、首が回らぬ有様です。
じっさい老人は時間がない。糖尿、高血圧、腰痛、ひざ痛などに加えて,進行
停止中ながらも難病を2つ抱えてそれぞれ治療が必要。人生の締め切り日がいつくるか、心細く暮らす昨今です。
ここでまたクレージイキャッツの登場。(2月22日は猫の日だそうです)
あの娘と会ってもホンダラダホイホイ
この娘と会ってもホンダラダホイホイ
会っても会ってもホンダラホダラダホイホイ
どうせこの世はホンダラダホイホイ
待てば海路だホンダラダホイホイ