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2015年11月24日 4:57 AM

文明と暴力

11月13日夜発生したパリの同時多発テロでフランスは大変な状況にあるようです。9名の実行犯がサッカー競技場、劇場、レストランの3か所で爆発物を作動させ、8名が自爆死、1名が治安部隊に射殺されたそうです。被害者は死者130名、負傷者350名余(うち重体100名)だそうで、フランス史上最大のテロ事件だということです。
実行者は過激組織「イスラム国」の軍事部門。フランスは空母を地中海シリア沖に派遣、アメリカ、ロシアも協力してシリアの「イスラム国」の拠点の空爆を強化するようです。クリミヤ半島でEUやアメリカと対立するロシアがなぜ米仏に協力するかと云うと、10月末エジプトで起きたロシア旅客機墜落事件をやはり「イスラム国」によるテロと断定したからのようです。
イスラム過激派は1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻で発生しました。反ソのアメリカやサウジアラビアが過激派を支援しました。1990年代にソ連が崩壊すると、過激派は強気になり、エジプト、アルジェリア、ボスニアなどで親米,親ソ政権を攻撃、孤立の色を深めました。イスラム教徒の国々を何とか統一し大国家にしたいと云うのが彼らの夢なのです。

2001年彼らは9,11同時テロ事件を起こし、アメリカを憤激させました。報復のためアメリカはアフガン戦争、イラク戦争を勃発させアルカイダを敗走させたです。
イスラム過激派は彼らの夢である「イスラム国」を名乗るようになり、標的を欧州に変えました。とくにフランスは旧植民地から多数のイスラム教徒を受け容れ、社会的差別により恨みを買っていたのです。
2015年1月7日、「イスラム国」の実行犯は漫画週刊誌「シャルリ.エブド]を襲い、記者ら12名を射殺、9日には人質を含む5人を殺害する惨事を引き起こしました。
数日後、連続テロに抗議する大行進がフランス全土で起りました。参加者は何と370万人。「表現の自由」が侵されつつあることへの危機感が招いた大行進だったようです。畏友、新井美史氏(元朝日放送パリ支局長)の解説によると、
「シャルリ、エブド」の漫画の風刺ぶりは決してフランスのエスプリを感じさせるほど高級ではなかった。フランス人でも眉をひそめたり、不快感にかられる者は多かった。イスラム教の教祖ムハンマドや聖典コーランも再三茶化された。熱心なイスラム教徒は深く傷つき、恨みを抱いたに違いない。
「シャルリ.エブド」はローマ法王、自国のオランド大統領、日本の安倍総理や日本文化もお構いなしだった。当たるを幸いやっつけた。それも下品な風刺で。イスラムの若者の現状を多少ともやさしく扱っていたら、この事件は起こらなかったのではないか」ということでした。
そして今度の同時多発テロと抗議の大行進の発生です。フランスが長い歴史を通じて営々と積み上げてきた文明も、暴力で1日で破壊されてしまう典型例をわたしは見るような気がしました。そしていま勉強中の鎌倉時代、南北朝時代、戦国時代の武将らの心中に思いを馳せました。今日の政治家は落選の心配だけすれば済むけど、明日にも殺されるかもしれない武将らはどんな気持でその日その日を送ったの
か。わたしたちの想像もつかぬ緊張感と戦いつつ一生をすごしたのではないか。
その心理状況をかねて把握したいと思っていました。ピリピリして暮らしたのではなかろうか。今日のサラリーマンよりもずっと深刻に人生を思いやって。

しかし暴力によって潰された文明は、幾年かをへてさらに強力な兵器を生み出し、また暴力により潰される。そして文明はーーー。輪廻は永久に繰り返すのではないでしょうか。
「イスラム国」を知ったおかげで戦国武将の心理をいくぶんか想像できるようになった気がします。
てなことを思っていると、大阪ダブル選挙で維新の党(正式名称知らず)が圧勝しました。祝いの気持ちを込めてですが、何だか「イスラム国」が進出したような気がします。

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  • 新井美史

    「シャルリ エブド」につき、拙文をご紹介いただき、誠に恐縮です。貴ブログの読み方などについては、上田博章氏より教えてもらいました。これからも拝読させていただきます。良いお年をお迎えのほど! 新井美史

    • abemaki0894

      新井美史さま
      お礼メールをいただいて誠に恐縮です。「シャルリ エブド」事件についての貴
      兄の文章、
      本当に勉強になりました。それから台湾沖航空戦などの話、台湾在住の人の記録
      に初めて
      出会いました。われわれの世代は各自が独特の自分史をもっているのだなあと改めて 感慨にふけりました。[榕樹文化」という雑誌,面白いですね。「柳月堂」の広
      告を見て懐かし
      さにシビレました。まずはお礼まで。今後ともよろしく   アベ