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2011年4月3日 2:00 PM

火事場ドロボー

今度の震災にたいする日本人の秩序ある対応ぶりが、各国メディアの賞賛の的になっているそうです。じっさい暴動も略奪騒ぎもおこらず、被災者たちも首都圏 の人々もそれぞれの苦労に耐えています。原発事故の処理にあたる人々の献身ぶりには日本人の全員が頭をさげる心境でしょう。
日本人は基本的に「いい人」ばかりなんだなあと思わされます。日本は性善説が通用する世界でもまれな国だといってよいでしょう。
だが、被災地で空き巣や車上荒らしを働く輩がごく少数ながらいるらしい。「そんな奴射殺しろ」という声があがるのも当然です。われわれ日本人は火事ドロを もっとも卑しむべき犯罪だと位置づける。他人の弱みにつけこむ犯罪を忌み嫌う感性は、国の秩序を保つうえでまちがいなく大きな力になっています。
だが、現代史をひもとくと、国家としての日本は数々の火事ドロをやらかしてきました。。
大正3年第一次大戦がはじまると、日本政府は大戦に便乗してドイツの租借地である青島を占領、のちに南洋群島を日本の委任統治領とする下地をつくりまし た。。また欧米諸国の関心がヨーロッパの戦局に集中しているのに乗じて中国政府に悪名高き対華21か条要求を突きつけて、いまでいえば「ならず者国家」の 典型となりました。。
大正7年にはソ連革命のどさくさを突いてシベリアに出兵、第二次欧州大戦中の昭和15年7月にはソ連の窮状を見越してソ満国境に大軍を集結させ、ソ連進攻 の機をうかがった。さらに9月にはフランスの降伏に乗じて北部仏印(北ベトナム)に進駐、翌16年9月には南部仏印[南ベトナム)へ進駐して対米関係を決 定的に悪化させてしまいました。
。今日以上に日本人は礼儀と秩序を尊び、清廉だったはずなのです。だが、国家としては火事ドロの常習犯でした。これはどういうことなのかと思わされます。。
先進国へ追いつけ追い越せの日本としてはなりふりかまわず国益を追求せねばならなかった。国際政治の現実が身もふたもない実利の争奪戦だったから、国力の不十分だったわが国も対抗上火事ドロ
に 走らざるをえなかったわけです。だが、この火事ドロ主義は青島占領をのぞいてろくな結果をもたらさなかったのです。。日本の国際イメージを低下させ、先進 国の日本たたきに正当性をあたえた。日本にすぐれた外交力、宣伝力があれば尤もらしい大義名分を押し立てて国益を追求できたのだろうが、なにしろ「いい 人」たちの国の政府である。国際政治にはあって当然の火事ドロ行為をもっともらしく糊塗するだけのしたたかさがなかった。じっさい日米交渉の経過などを見 ると日本は赤ん坊のようにアメリカの手練手管に翻弄されて、世界史の悪役をおしつけられたわけです。
日本政府の高官も出世競争に勝ち抜いただけ日本人としては思慮深く生命力にも富んでいました。だが、数百年の国家紛争をへて生き残った先進国を仕切る高官 たちにくらべると、東洋の島国のお坊ちゃんであることは否めなかった。さらに貴族出身の近衛文麿が貴族であるゆえに実力以上に買いかぶられるような古い風 土が残っていて、合理主義に徹し切れなかったこともあります。
火事ドロ主義の政府にひきいられた善良な国民―――これが戦前の日本の構図でした。ではいまはどうか。戦後の日本人は権利意識が高く多分に自己中心です。経済優先主義で協調よりも自立を重んじるようになりました。戦前の日本人よりもずっと扱いにくくなっているはずです。
これに対して政府はどうか。基本とするのは事なかれ主義です。火事ドロを働く勇気さえなく、他国の火事ドロ行為を手をこまねいて見ているだけ。つい最近そ の醜態を見せ付けられてわたしたちはうんざりしました。事なかれ主義の政府にひきいられる、ややしたたかな国民というのが現在の構図です。
でも東日本大震災を気に日本人の良きDNAがものをいいました。整然と忍耐強く国民は災害に対応しています。これにくらべて政府の対応はあざやかとはいい がたい。現政府にかぎらず以前から日本の政治は三流といわれてきました。なぜそうなったか、つぎのブログでわたしの意見を述べてみたいと思っています。