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2015年3月17日 3:38 AM

締切前のバカ踊り

出不精とアマゾンのせいで最近めったに書店を覗かなくなりました。今日も
苅田一志と云う人の「日本史を学ぶための古文書,古記録の訓練」という本
を注文しようとして、ハタと思い止まりました。
あと何年生きられると思っておるのか。いまごろ入門書、訓練本を買っても
身につけるヒマなんかあるはずがない、と自戒したのです。だが、そうなる
と口惜しくなってどうしても読んでみたい。入手してもゴミにしかならないの
を知りつつ注文してしまいました。
最近こんなことが多いです。わたしはオーディオ装置は旧型のボーズを使っ
いるのですが、週刊誌で新型の広告を見て買い換えようかなの思いました。
長年使って旧型にはガタがきているのです。しかし、近い将来わたしに人生
の締切がきて新品のオーディオが遺品として残ることを考えると、新型を買
う気になれませんでした。10万円もしない装置なのにね。半面CDはときお
り買っているのだから矛盾した話です。
若いころ、サラリーマンになってからはいつも本を持ち歩いていました。文
芸書の類が多かったのですが、通勤の途中や会社の休憩時間にヒマを見つけ
ては読んだものです。学生時代は遊んでばかりいたのに、いざ会社に拘束さ
れる身になると、自由な時間が欲しくなって本を手放せず、文字通り「寸暇
を惜しんで」読むようになりました。いつだったか野坂昭如さんと一緒に阪
神競馬場へ行ったとき、わたしが本を持っているのを見て、野坂さんは
「学生時代さサボってた奴にかぎって卒業後は勤勉になるもんだな」
と笑っていました。
全くその通り。自由な時間の値打ちは失ってからわかるのです。いまもわたし
はそのままの状態におります。いまから修行したいことは多々あるのに、人生
の締切が近づいて諦めざるを得ません。そう思う反面、いまの状態があと何年も

つづくように錯覚して生きています。
ちなみに今月も本を2冊買いました。松岡進著「中世城郭の縄張と空間」および
近江俊秀著「平城京の住宅事情」です。どちらも小説「新太平記」を書くための
参考資料です。小説は歴史書と違って具体的描写が必要です。「楠木正成は千早
城で数万の幕府兵を相手に戦った」というだけでなく城の造り、周囲の光景、血
生臭い場面などを具体的に書く必要があります。大阪に住んでいるから現地調査
が可能だと踏んで着手したのですが、やってみると奥が深く、いろんな知識が必
要でキリキリ舞いの有様。まして正成の時代よりも三男正儀の時代がオモロイと
あって完成は遅れるばかりです。書き上げるまでに人生の締切がきたらどうしよ
うかと気を揉んでいるのです。
これまでの締切と違ってこの締切は期日のはっきりしないのが悩みです。へたを
すると明日、明後日かもしれない。いや、あと4~5年はあるだろうと自分にいい
きかせて暮らています。ともかく老後は意外に多忙です。なんせ医療上の雑用が
多くて時間をとられます。病院の待ち時間にも読む本をもっていきます。
物わすれもするし、認知症の恐れもあります。テレビの医療番組の視聴率に夫婦
そろって貢献している現状す。人生の締め切りを延ばすのは医療の進歩に期待す
るしかありませんからね。
昨日「認知症防止」の番組を見ました。どこやらの地方の街で、市民が集まってボケ
ないためのダンスをやっていました。ジイサン、バアサンが声をそろえて、
「赤いリンゴにくちびる寄せて
だまって見ている青い空」
と歌いながら幼稚園児のようにスクエアダンス風に踊るのです。ジイサン、バアサン
が何たることか。あれが認知症対策なのか。
あの風景は中学時代に見たことがあります。見物するだけで何だか恥ずかしかった。
当時を思い出しながらテレビを見てわたしは、、
「あんなアホな真似ができるか。あんなダンス、すること自体がボケてる証拠やぞ」
と憤然としました。すると、
「すぐ腹を立てるのが認知症の始まりよ」
と妻にいわれたのです。

やはり締め切りは近いのかな。人生の最後になにをやりたいか。いまから考えることにします。