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2014年11月25日 3:44 AM

老人はさびしからずや

まだ犯人と確定してないけど、京都の向日市の老女が連続殺人の容疑者として逮捕
されました。筧千佐子という67歳の女です。
同女は昭和45年に最初の夫と結婚、2児を生んだのですが、平成六年(結婚24
年目)に夫はガンで死亡しました。夫は小工場の社長で経営に四苦八苦し、妻の彼
女も辛酸を舐めたようです。
平成6年彼女は兵庫県の男と再婚をしました。だが、数年後に死亡。その後松原市
の男と再々婚したが、この男も死亡。平成23年には貝塚市の男と内縁関係になっ
たものの、この男はバイクで転倒して死亡。
平成25年には向日市の筧勇夫氏と結婚しました。しかし、その年のうちに筧氏は
死亡。遺体から青酸化合物が検出されたようです。その後23年に転倒死した貝塚
市の男の血液からも青酸化合物が検出され逮捕されたのです。
いやはや筧千佐子は大変な毒婦のようです。最初の夫の死まではマトモだったよう
ですが、工場を手放し1回目の再婚までの10年間に人格が激変したのでしょう。
そのうち精神分析家の意見も出るのでしょうが、わたしなりに解釈すると、人殺し
は夢想するのと実行するのとの間に高い壁があります。何と言っても殺人は現代社会
最高の犯罪だからです(戦争を除く)通常人はなかなかこの壁を乗り越えられません。
しかし一度決死の思いで乗り越えてしまい、しかも犯行がバレずに済むと、
「なんだ、こんな簡単なことだったのか」」
とほっとした気持になります。遺産や生命保険目当ての犯行なら、大金を手にしてな
おさら解放感にかられるでしょう。夢想と実行の間の壁が急に低くなるのです。
二度目の犯行時には壁はさらに低くなり三度、四度と繰り返すうちに壁は消えます。
まるで罪の意識がなくなるようです。こうなると怖い。人を殺すという現代社会最
大の罪を平然と犯せるスーパーマンになるのですから。
まじめな銀行員であり、経営者の妻であった千佐子容疑者の大変身の鍵は、最初の再
婚相手にたいする犯行にあったと私は思います。好きでもない男と再婚し、殺して遺
産を奪うに至った心理的経路にわたしは深い興味をおぼえます。
過去、尼崎や和歌山でこの種の事件がありました。犯人とされる女はどちらもシレッ
とした顔で、世間を呆れさせたものです。
筧千佐子容疑者のように結婚詐欺めいた遺産狙いの犯罪の被害者は、きまって孤独な
老人です。この種の犯罪の当事者たる女性の写真を見ると、わたしたちは、
「なんでこの程度の女にそこまで入れあげるのか」
と疑問にかられます。騙される奴はアホじゃ、とひそかにバカにしていたのです。
だが、最近はそう偉そうなことがいえなくなりました。
わたしも寄る年波に翻弄されています。あと何年生きられるかわかりません。万一、
妻に先立たれて独居老人になったら、孤独感で身が細るでしょう。とても家事をやり
こなす自信はありません。
わたしには細々ながらまだ仕事があります。でも失業中の孤独な老人なら「世話して
あげるわ」という女性が現れたら、それは美醜に拘わらず天使です。全財産をゆずっ
てでも受け入れるでしょう。
千佐子容疑者は数か所の結婚相談所で「高齢、資産家、子供なし」を条件にカモを狙
っていたということです。じっさい、これまで5億とか8億とかを相続したらしい。
わたしには遺産などないから、たとえ独居老人になっても毒殺されずに済みそうです。
それにしても老人の命が金に換算される世の中です。資産家の老人は早くあの世へ行
けと無言の催促をされながら余生をすごさねばなりません。まあ資産があるのならそ
れでも辛抱できるけど、無資産家はどうすればよいのですかね。
現代の老人は子供に何か残さねば、と強迫観念にかられています。老女なら千佐子容
疑者のように独居老人からの相続を狙う手もありますが、男には真似ができません。
残る手段は悪い奴らを見習って、最後のとき、
「死亡の届け出はするな」と妻子に遺言してあの世へ旅立つことですかね。妻子は年
金や生活保護費を受け取れるというわけです。
なんだか情けない話になりました。認知症の徘徊を装ってどこか遠方の施設へ入るほ
うが良いかもしれません。妻子には年金や生活保護費が入ります。でも、認知症を装って

氏名も住所もわすれたふりをするのが考えただけで大変です。
男と女はどちらがトクか。晩年は女のほうがはるかにトクなのです。女には相続狙いの手
があるからなあ。